PTS取引(夜間取引)とは
PTS取引(夜間取引)は、証券取引所を介さずに株式の売買ができるシステムです。
具体的には、証券会社が独自にPTS市場に取り次いで売買を成立させる仕組みであり、通常の証券取引所を介した一般的な株式の売買とは異なります。
以下はPTS取引と取引所での取引の違いです
1.取引時間
- 取引所の取引時間は通常9時から15時までですが、PTS取引では証券会社によって異なります。
- PTS取引には日中取引があるデイタイム・セッションと、夜間取引が可能なナイトタイム・セッションがあります。
2.呼値
- 呼値は注文できる価格の刻み幅を指します。
- 通常の取引所では、株価が1,000円の株式で買い注文を入れる際は1円刻みでしか発注できません(つまり1,001円、1,002円、1,003円というように)。
- しかしPTSでは呼値の単位が0.1円なので、細かく注文を出せます(例: 1,000.1円、1,000.2円、1,000.3円)
PTS取引(夜間取引)のメリット
PTS取引(夜間取引)には、取引所取引にはない4つの大きなメリットがあります。
1.夜間のニュースや決算情報に対応できる
アメリカやヨーロッパの経済指標や企業の決算発表は、日本時間の夜間に発表されることが多いため、PTS取引を利用すれば、翌日の市場開場前にこれらの情報に基づいて取引することができます。
2. 信用取引が可能
PTS取引では、信用取引を利用できます。
信用取引では、預けた資金の最大3倍の金額まで取引できるため、少ない資金で大きな利益を狙うことができます。
3.取引手数料が安い
PTS取引は、取引所取引よりも手数料が安い場合が多いです。
特に、夜間取引は無料に設定している証券会社もあります。
4.取引所取引より有利な価格で約定する可能性がある
PTS取引は、取引所取引よりも呼値が細かく設定されているため、より有利な価格で約定する可能性があります。
特に、株価の高い銘柄は、PTS取引の方が有利な価格で取引できることがあります。
PTS取引の注意点
PTS取引は、取引所取引よりもリスクが高いため、以下の点に注意する必要があります。
- 流動性が低い: 取引できる株数が少ないため、希望する価格で約定できない可能性があります。
- 価格変動が大きい: 夜間は市場参加者が少ないため、価格変動が大きくなる可能性があります。
PTS取引のデメリット
PTS取引は、取引所取引にはない利便性を持つ一方で、以下の3つの大きなデメリットが存在します。
1.PTS対応の証券会社が少ない
現在、PTS取引に対応している証券会社はSBI証券、楽天証券、松井証券の3社のみです。
他の証券会社で口座を持っている場合は、新たにこれらの証券会社で口座を開設する必要があります。
2.売買が成立しにくい
PTS取引は、取引所取引に比べて参加者が少ないため、希望する価格で約定できない可能性があります。
特に、流動性の低い銘柄は、売買が成立しにくい傾向があります。
3.銘柄が限られている
PTS取引で取引できる銘柄は、東証プライム、スタンダード、グロース市場に上場している銘柄のうち、各証券会社が指定したものに限られています。
地方取引所に上場している銘柄や外国株・外国ETFは、取引対象外です。
PTS取引を利用する際の注意点
PTS取引は、これらのデメリットを理解した上で、慎重に利用する必要があります。
- 取引したい銘柄がPTS取引で取り扱われているかどうか事前に確認する。
- 流動性の高い銘柄を選ぶ。
- 希望する価格で約定できない可能性があることを念頭に置く。
まとめ
PTSは、株式市場において時間外にスムーズに売買できる仕組みであり、投資家にとって重要なツールです。
その利用法やリスクを理解し、適切に活用していきましょう。